2012年8月6日月曜日

ラグとカーペットはどう違うの?(敷物の種類についての基礎知識)

「カーペットとラグ、絨毯ってどう違うんですか?」というご質問を頂くことがあります。

実はこれ、結構曖昧に使われているのです。カーペット伝道師を名乗っている私は

「カーペット=広い意味で敷物全般」

という意味で使っているのですが、一般的にはごちゃ混ぜに使われていることが多くわかりにくいのが現状。

そこで、本日は、私なりにその言葉の意味、つまりカーペットの色々な種類について簡単に解説させていただきます。

よく出てくる言葉としては、敷物、絨毯(じゅうたん)、緞通(だんつう)、カーペット、ラグ、マット、ホットカーペットカバーなどですね。ひとつづつご説明します。



敷物:  これは言葉の通り床に敷くものですので、ラグ、カーペット、絨毯などすべての種類を意味する「総称」と言えます。

★絨毯(じゅうたん):
イメージ的には輸入品で高級な敷物のイメージがあります。特に無地のものよりも、柄の入ったものが絨毯と呼ばれることが多いようです。 ウィルトン織りなどで代表されるような、織物で作ったものを絨毯と呼ぶと定義しているケースもあります。

代表的なウィルトン織りの柄物絨毯↓ 31.png

★緞通(だんつう):
ペルシャ絨毯などに代表される手織りの敷物のことを緞通と呼びます。中国語のタンツ(毯子)という言葉から来ているとも言われます。このためか中国緞通とはよく言われるのですが、なぜかペルシャの場合はペルシャ緞通というよりペルシャ絨毯と呼ばれることが多いようです。

32.png 33.png

★カーペット:
さて、いよいよカーペットなのですが、最初に述べましたようにカーペット伝道師である私は、敷物と同じように 床に敷くものの総称として使っています。 したがって、柄物の絨毯を柄物カーペット、、ペルシャ絨毯をペルシャンカーペット、中国緞通を中国手織りカーペットと呼んでも間違いではありません。 ただ、一般的には、無地系の敷物で部屋に敷き詰めてしくもののことをカーペットと呼ぶことが多いようです。

カーペットの典型的なパターンはこんな感じでしょうか↓ 34.jpg

こんな風に壁から壁へ(wall to wall) 敷き詰めるのもカーペット 35.png

★ラグ:
カーペット同様、あるいは、それ以上によく使われる言葉です。 これは製法や構造による分類というよりは、その使われ方を示す言葉。

床全面に敷き詰めるのではなく部屋の中に中敷として部分的に敷くようなケース、その敷物をラグと呼びます。

したがって絨毯もカーペットも、緞通も、そのような使われ方をした場合はすべてラグと呼べるわけです。最近ではフローリングの部屋が多く、そこには壁から壁まで敷くよりは部分的に敷くことが多いため、ラグという言葉が多く使われています。

36.jpg
↑これはアクセントラグといわれるラグの典型的なもの。

大胆なデザインでお部屋のアクセントになるためアクセントラグとよばれサイズは140x200cmのものが中心です。 このため「 ラグサイズ=140x200cmである」と解釈されることもあるのですが、ラグ=部分的に敷くもの ですから、サイズが一定に決まっているわけではありません。
140x200cm以外のサイズでは200x200cm、200x250cmなどもラグの代表的サイズであり、これらはスペースラグと呼ばれたりもします。
無地のカーペットもこういうふうに↓使われるとラグと呼べますね。 37.jpg
逆にデザイン性の高いアクセントラグを、カーペットと呼んでも間違いとはいえません。

(ちょっと、こぼれ話)
ラグというのは英語表記するとRUGとなりますが、ときどき商品などにRAGと表記されていることがあります。 RAGというのは英語では「ボロギレ、ぼろ布」 などの意味があります。 「綺麗なラグでしょ!」というつもりが「綺麗なボロ布でしょ!」ではちょっとおかしいですね。スペルミスにはご注意を 。

★マット:
これは比較的分かりやすい知名度が高い呼び方です、玄関マット、バスマット、トイレマット、キッチンマットなど、小さいサイズの敷き物ですね。これをカーペットや絨毯などと呼ぶことはあまりありませんが、マットという あくまでも小さな敷物をさす呼び方であるとご理解ください。
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(ちょっと、こぼれ話)
最近、ネットショップなどの商品の分類でラグとマットを一緒にして「ラグ・マット」という分類にされるところが多いようです。このため時々お客様から「ラグマット」をくださいといわれることがあるのですが、 上に述べましたようにラグは中敷き用の総称、マットは小さなものの総称になりますので、「ラグマット」といわれると何を指しておられるのかよくわからなくなってしまいます。

★ホットカーペットカバー:
これも文字通りです。ホットカーペットは別名電気カーペットとも呼ばれます。電気を通して熱を持たせる暖房器具ですね。その暖房器具の上に掛ける敷物がホットカーペットカバーと呼ばれています。つまりラグやマットと同様、使われ方で決まる呼び名なのです。
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一般には、薄くて柔らかい素材のものがホットカーペットカバーにされるケースが多いので、ホットカーペットカバーといえばイメージ的には薄い、柔らかい、比較的安価なものとなりますが、

あくまでも使われ方の問題ですので、高価なペルシャ絨毯であってもホットカーペットの上に敷けばホットカーペットカバーですし、無地のウールカーペットであってもホットカーペットの上に敷けばホットカーペットカバーと呼べるのです。

カバーというとどうしても本体を守る付属品と思われがちで、安い物でよいと思われてしまうことも多いのですが、実際に使われている状態をみれば、お部屋の中で見えているのはカバーのほうであって、本体は見えません。見えている部分がお部屋のインテリアの構成要因であるわけですから、インテリアを楽しむという意味でカバーのほうに重きを置いてもらいたいものですね。

(ちょっと、こぼれ話)
時々お客様から 「カーペットの上にかける奴くれ」って言われることがあるのですが、この場合、お客様が意味していることは「カーペット=電気カーペット」であり、「奴=カバー=カーペット」なんですね。カーペットが「奴」呼ばわりされるのはちょっとかわいそうです。

 私に言わせると電気カーペットこそ、平型床置き敷き暖房器具であり、ラグ、あるいはカーペットの下に置く奴!って呼んでもらいたいくらいなんですが…(笑)

以上、代表的な敷物(カーペット)についてお話しましたが、ご理解いただけましたでしょうか?
敷物の選び方を考える際のご参考になればいいのですが。

種類と使われ方の両面から名称がついているため、混同しやすいですし、私自身も、同じものであっても、カーペットだのラグだのと使い分けて表現していることがあるので皆様にはご迷惑お掛けしているものと反省しています。


まとめとして、
☆敷物全体をあらわすのがカーペット。 
☆その中で、部屋の中に部分的に敷くものがラグ
☆少し高級っぽいのが絨毯
と理解してもらえたらいいかと思います。

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